田中祥恵さん(あすわら訪問看護ステーション 看護管理者)
「死ぬ前に後悔したくない」との思いから訪問看護ステーションを開設に
病院では急性期、血液内科、透析クリニック、リハビリ病院などで9年働きました。病院勤務をしているときは医療事故を起こさないことに重点が置かれて、患者さんのQOLアップになるであろうこともできないこともありました。家に帰りたいという患者さんもそれを実現するタイミングを逸することもあり「患者さんが家に戻って治療を続けられる看護に携わりたい」と訪問看護ステーションに転職して3年間を過ごしました。
その後、看護師としてこれからどうやって生きていこうかとリフレッシュのために海外旅行に出かけたとき、日本とは違う環境に触れたせいでしょうか「もしも自分のやりたいことにチャレンジしないまま一生を終えたら私は後悔するに違いない」という気持ちに駆られました。私のやりたいこと……それは自分の手で訪問看護ステーションを立ち上げることでした。泣いても笑っても同じ一生、それなら笑って楽しく過ごしたい」。私は昔からそう考えて生きてきたところがあります。
帰国後、すぐに訪問看護ステーション設立に向けて動きはじめました。昨年の2月のことです。情報収集を重ねているときに「訪問看護ステーションをいっしょにゼロから立ち上げてくれる人を探している」という今の運営会社の社長に出会いました。7月には開設に向けての物件探しやスタッフの採用などの準備にかかりました。昔からやると決めたらフットワークはいいんです(笑)。
スタッフ時代とはぜんぜん違う、管理者のしんどさとやりがい
立ち上げた施設は“明日も笑顔で過ごしてもらえるように”という思いを込めて「あすわら訪問看護ステーション」と名付けました。その名のとおり患者さんはもちろんご家族、スタッフなどかかわった人には全員に笑顔になってもらいたいと「私たちに何ができるだろう?!」と考えるようになりました。病院勤務時代に比べると患者さんとのお付き合いは長くなりますし、ダイレクトなかかわりになります。スタッフとして勤めていた時代ももいろんそう思っていましたが、その思いの強さはぐんと増してやりがいも感じています。
その反面、自分が経営側に回ると“ここまでしんどいとは思わなかった”という一面もあります。なんといっても看護師としての仕事だけでなく、収入にかかわるレセプト請求などの事務仕事があります。この実務はゆくゆく事務職を採用してバトンタッチしてゆきたいと思っていますが、そのためにも今ががんばらないといけません。
日ごろの積み重ねで信頼関係を築いていく
患者さんとの信頼関係は日ごろのやり取りの積み重ねで築かれます。通常の会話はもちろんですが、他にも表情に変化がないかなどにも気をつけています。質問されたことにはその場で答えて、もしすぐにわからないことでも調べてその日中にはお答えできるようにしています。
患者さんやご家族はお医者さんに聞きたくても、なかなか直接は聞きにくいこともよくあります。そんなときはお医者さんとの橋渡し役になれるようにと思っています。
スタッフに対しては「看護師をやっていてよかった」と思えるような体験をしてもらいたいと思っています。看護師の仕事というよりも働く環境のために看護師の仕事を続けられないようなケースもあります。そういう意味でも働く環境では“週休3日制”を実現できるような職場にしたい。
また仕事自体の悩みや失敗もその原因をしっかり究明して、本人が学ぶべきところは本人が努力する。組織として解決すべきところがあれば組織で解決していくようにしています。
やはり看護師という仕事を選んだ以上はそのやりがいやおもしろさを感じてもらいたいですから。毎週金曜日の午後には“自分の殻を破る”という機会をつくる意味で「ピーナッツミーティングを実施しています。」
今の目標は1年目が終わる年内までに“明日も笑顔で過ごしてもらえる”利用者さんを100名に増やすこと。そして1年目を黒字化させて2年目を迎えることです。


